47本の染色体を持って生まれ,生きることの奇跡

 通常,人は46本の染色体を持って生まれてきますが,時として,47本の染色体を持って生まれてくる子どもたちがいます。
 あるデータによると,受精卵のおよそ30%程度が染色体異常を持っていると考えられていますが,これらの受精卵のほとんどは,妊娠を自覚することさえもなく失われていきます。一方,染色体異常の比較的小さいものは,その後も発生を続けますが,それでもその多くは流産になります。そして,染色体異常のうち,ごく一部の異常や性染色体異常をもつ胎児だけがさらに発育し,出生に至ります。最も小さな染色体である21番トリソミーでさえも,実はその80%が流産となり,残りの20%だけがこの世に生まれてくると考えられています。
 この世に生まれ、元気に育っていくダウン症の子どもたちは,生まれる前からの試練を乗り越え、奇跡的な可能性で生き残った子どもたちなのです。


+1 Happinessとは

 +1 Happinessは岩手県釜石市に本拠地を置くダウン症児やその家族の支援団体です。釜石地域のみならず,気仙地区やその周辺地域にお住いの家族も対象として活動しています。
 釜石・気仙地域では年間1~2人程度のダウン症児が生まれています。人口比でみると高いかもしれませんが,絶対数が少なく,情報やサービスが不足しているのが現状です。また,岩手県にも既存の家族会はありますが,盛岡を中心としており,また,年会費もかかるため,この沿岸南部からの参加は難しいのではないでしょうか?
 そこで,小さくとも地域に根差した組織が必要と考え,活動を開始しました。
 我が子がダウン症かもしれない,もしくはダウン症と診断された方の孤独や不安は,なかなか周りの方には理解できないものです。その時,同じ状況を経験した家族が近くにいたらどんなに心強いことか。それは,すべての家族が経験した1番の思いです。
 この活動は新規に立ち上げたNPO法人の運営により行うものとすることで,ご利用・ご参加家族の負担を極力減らしております。構成メンバーには医療関係者や福祉関係者をはじめ,ダウン症児の家族も参加しております。1人や1家族で悩まず,私たちに相談ください。

 +1 Happiness』には,染色体が1本多い子どもたちの『+1本分の幸せを願って』という意味が込められています。


+1 Happinessの目指すもの

 +1 Happinessの運営組織はNPO法人格を取得していますが,設立当初は常勤の有給職員はおらず,全員がボランティアで活動しておりました。しかし,2024年4月より財団法人(財団)仁医会の一部業務を引き継ぎ,加えて釜石市・大槌町より基幹相談支援センターの運営を受託しました。同時に,障害者グループホームの運営も引き継いでおります。それに伴い,ボランティア職員による活動だけでは限界があるため,現在は常勤の有給職員を配置しております。しかしながら,非収益事業が活動の本幹であることに変わりはなく,今後も収益を求めない活動を積極的に行ってまいります。
 +1 Happinessは家族間での交流や情報交換の場の提供はもちろんですが,地域の具体的な情報を発信していくとともに,受給者証を必要とすることなく,早期療育プログラム(日本ダウン症児療育研究会が行っている『ダウン症児の赤ちゃん体操』など)の提供をしていきます。受給者証を必要としないことで,行政の判断を待つことなく,より早期から機動的な介入ができると考えたからです。そして,より専門的な介入が必要な場合は,正式な手続きを経て受給者証を発行してもらい,既存の事業者による福祉サービスを受けて頂ければと思っています。その間の情報提供は随時行ってまいります。ご家庭と医療,福祉,行政,相互のかけ橋になることを目指します。
 また,現在はこの活動の輪をダウン症以外の障害児にも拡げ,広く共有し,障害児(者)が住みよい地域づくりに貢献できればと思っています。