理事長の兼業に関する疑義について

 先日,当法人理事長が新聞に掲載されたこともあり,いくつかのお問い合わせがございましたので,この場をお借りして回答いたします。
 お問い合せの趣旨は,県立病院の医師がNPOの理事長を務めていることは,地方公務員法第38条違反ではないか,ということです。これに関して,当法人として以下のように回答いたします。

(営利企業への従事等の制限)
第三十八条 職員は、任命権者の許可を受けなければ、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下この項及び次条第一項において「営利企業」という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。

 そもそも県立病院の医師が地方公務員であるかどうかについては,当法人もまぎれもなく地方公務員であると認識しております。また,理事長は任命権者の許可は受けておりません。しかし,上記のように地方公務員法第38条で制限されているのは,以下の3つになります。

 (1)営利企業を営むことを目的とする会社やその他の団体の役員や人事委員会規則で定める地位を兼ねること。
 (2)自ら営利企業を営むこと。
 (3)報酬を得て事業や事務に従事すること。

 NPO法人は特定非営利活動法人であり,営利活動はNPO法により禁止されています。よって,(1),(2)は対象外となります。また,(3)に関しては,当法人は定款により役員報酬の支払いを禁止しており,当然,理事長には報酬を支払っておりません。さらに,役員報酬とは別に職員としての給与を支払うことは可能ですが,こちらも支払いをしておりません。よって,(3)も対象外となり,38条に違反する事実はございません。むしろ,理事長は個人として,当法人にとって最大の支援者の1人となっております。
 この点につきましては,公表している決算書等でも確認できますので,ご覧ください。

 決算書等を確認すると,役員親族への支払いおよび役員親族が支配する法人への支払いがあります。
 これらに関しては,人手と資金が少ない中でどうしても親族に頼らざるを得ないところがあり,当法人の定める規定以下の支払いで,何とか協力頂いている状況です。この事実については,認定審査の際に監督機関である岩手県にも報告しており,問題がないとの判断を頂き,認定NPOとして認定された経緯があります。

 さらに,地方公務員法には以下の条文があります。

(職務に専念する義務)
第三十五条 職員は、法律又は条例に特別の定がある場合を除く外、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、当該地方公共団体がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。

 こちらは,理事長は非常勤役員であり,その活動は原則として日中の病院での勤務終了後の夜間および休日に限定しております。ただし,行政等とのやり取りもあることから,どうしても平日日中に活動しなければいけないこともあるのは事実です。その場合であっても,有給休暇等を使用して活動しており,職務専念義務違反には該当しておりません。
 なお,有給休暇等の取得は,公務員医師であっても正当な権利行使であると考えております。

 以上,いずれの場合も法律に反することなく活動を行っております。
 お問い合わせいただく場合は,まずはご自分の目で条文を読み,しっかりと解釈したうえでお願いしたいと存じます。